トージーの殴り書き

ただただいろんな感想を書くだけ

ピオフィオーレの晩鐘 ネタバレ感想

こんにちは、トージーです。
 以前からいろんなゲームをやってはいろんな人の感想をネットで漁ってたんですが、我慢できずブログで感想を書いてみたいと思ってブログを開設しました。
 このピオフィオーレの晩鐘という作品は結構前から知ってたんですが、私にとってオトメイトの作品はシナリオが好みじゃないものが多かったので、この作品もどうせそうだろうと思ってやってませんでした。しかし、去年の11月にこの作品のFDが発売されて、FDが出るということは本編が面白いのかと思って手に取って遊んでみました。

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全体感想

 ストーリーとしては、教会に暮らしていた主人公がマフィアのごたごたに巻き込まれるという話です。共通がとても短いです。キャラによって展開のハードさが変わりますが、どの√でも大体主人公に試練が振りかかってきます。エンディングは3つあり、バッドエンドは専用の章も用意されて秀逸です。キャラクターたちの行動原理がちゃんと描かれ話の唐突感がなく、久々にシナリオが面白いオトメイトゲームと言えるでしょう。
 ゲームの一番初めに出る時代背景を説明するムービーといい、MSシステムといい演出がとても良かったです。MSシステムのおかげでいろんな視点の話が分かり、この世界観の広がりを感じました。またこのシステムのおかげでオルロック√は本当にきつかったです…

個別感想

攻略順に感想を書いていきたいと思います。

1周目 ニコラ・フランチェスカ

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前情報なしに戦々恐々と慇懃無礼な選択肢を選んでいたらいつの間にか個別に入ってました。

私はすぐ口説いてくる軽薄な攻略キャラはあまり好きじゃなく、最初はダンテにしようかと思っていがところでニコラの個別に入りガックリしました覚えがあります。好意的なマフィアとか詐欺だろうと疑いながらニコラの一挙手一投足にビクビクしながら進みましたが、進むにつれてニコラをどんどん好きになりました。ニコラは計算高くて、自分の思惑道理に物事をすすめるための手段として口が達者なんだと思います。そして目的のためなら手段を選ばなく、主人公を利用しようとするのはマフィアの残酷さがよく現れてました。但し必要最低限以上の殺しはしなく、懐に入れた人を切り捨てられない点では愛情深いのでしょう。彼の目的さえ理解できれば、味方のときはめちゃめちゃ頼もしい人ですね。

ニコラの√ではロベルトがラスボスですが、ロベルトの執着が詳しく描写されていないせいで、ただの三下ボスみたいな立ち位置になったのが悲しかったです。私は彼自身は好きなキャラだったので。

バッドエンドではニコラとダンテの絆がすごく感じられました。この二人がファルツォーネを支えていくにはお互いが必要不可欠なんだなと、このエンドを通して感じました。主人公がこの2人の運命を狂わせたのだと考えると複雑な気持ちになります。そして主人公が死んでないことにビックリ!二コラは合理的な判断ができるから主人公を殺すんだと思っていたんですけど、そこまで容赦ないわけでなないんですね。

2周目 ダンテ・ファルツォーネ

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ニコラ√でなんとなく性格を把握してはいたんですけど、個別の最初の堅い感じに萎縮しそうでした。しかし主人公はマフィアのボスに対して敬語を使わないのは、万人平等という信念に基づいているのか、度胸があるというか怖いもの知らずというか…

 共通からの流れで、ダンテは主人公を屋敷に連れてきても特に説明もせず軟禁状態にしてしまいます。ニコラ√で懇切丁寧な対応を受けた身としては、ダンテの堅物で不愛想な対応の差にすごく笑っちゃいました。ニコラに比べて口下手だし嘘もつけないのか正直に"教えられない"と言うせいで主人公が余計に不安がっていたのが、ダンテの不器用さを表していてすごく面白かったです。これが二コラだったら多分うまいこと主人公を言いくるめていたんじゃないかと。それにしても軟禁されている中甲斐甲斐しくお世話してくれるレオくんに惚れない主人公がすごいですね。私はレオくん大好きなのでダンテの派生√でレオくん攻略したかったです…

 √が進むにつれてダンテが自分の心のうちを明かし、カポとしての顔からダンテ自身の素を見せるようになります。しかしカポとして未熟なダンテは身動きができない状況に陥ってしまって、他の攻略キャラと比べて経験が浅く、知識は身に着けているお坊ちゃまという印象を受けました。ファルツォーネが世襲制の組織であることから、ダンテが貴族のお坊ちゃまらしいという印象はあながち間違っていないかと…

 そしてバッドエンドでは、二コラを自分の手で殺すという悲しい展開が…そのあと主人公も植物状態になりますが、ダンテが二コラを殺めてしまったことのほうが心痛みました。

 

3週目 楊

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 いろんな意味で衝撃的なキャラクターでした。前2√でさんざん人でなしな行為を見せつけて、こんな奴と恋愛できるのかと思っていましたが、やっぱり好感度が足りないとすぐゲームオーバーになるんですね…楊は恋愛ゲームの真骨頂を発揮していると思います。
 ほかの人の√だと好感度が足りないとなぜか主人公たちにとって都合の悪い展開になります。正直シナリオの都合とはいえ好感度が足りないとなぜ攻略対象以外のキャラの行動にそれほど変化するのか疑問に思っていましたけど、楊の√だと好感度が足りないと楊自身が殺しにかかってくるので、恋愛ゲームしてる感が強かったです。そして脱いでるスチルとかキスしてるスチルが他と比べて多いです、r18な展開も多いです。みんな中盤から後半にかけてそういう感じになることが多いのに、いきなり1枚目がキススチルということでキャラの特異性が感じます。

 楊の√はデスゲームみたいなもんで、普通の恋愛過程に出てくるキャラの過去の話が楊の場合とても少なかったです。楊自身で過去について言ったことはベストエンドの最後ぐらいだと思います。むしろそれ以前の個別は楊が主人公に興味を持ち続けられるかという主人公の持久戦で、ベストエンドになって初めて主人公は楊との恋愛のスタート地点に立ったのではと思います。
 ただ、個人的な意見としては主人公と楊の関係性は家庭主婦とエリートの旦那みたいで、主人公はいつも楊の機嫌を伺っていないといけない立場です。主人公が楊に振り回されるのに耐えられて、楊が興味を持ち続けられる限りは続く関係なのかもしれませんけど、均衡が破れたら破綻しそうだと感じました。ゲームに現実の話をするな、この二人は未来永劫くっついているんだと言われればそうかもしれませんけど、私にとっては不安しかない関係ですね…楊は同じぐらいの強さか賢さを持つ女性と対等に近い関係性を築く展開のほうが私好みです。

 バッドエンドは予想道理に楊に殺されましたが、二コラやダンテみたいに生かされることがなかったところがキャラクター性がぶれなくてよかったです。本編のバッドエンドもよかったですが、私が期待していたのは主人公が二コラかダンテに寝取られて、楊に殺される展開ですね。

4周目 オルロック

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 マフィアではないオルロックの√はきっと別の√より気楽で、主人公との純情物語が見れるだろうと思っていましたが、一番重い√でした…

 個別に入って間もなくニコラがオルロックに止む無く殺されるんですが、その後挟まれるMSによりファルツォーネ側の支店での話があまりにも悲しくて…気分が落ち込んでしまい、オルロックの恋愛に集中できなかったです。また、ニコラが死んでしまい、ダンテがオルロックを仇とする復讐鬼になってしまいます。それがオルロックのバッドエンドに繋がってくるので作りが上手いです。

 終盤になるとギルバートが殺しにかかってくるんですが、殺しにかかる理由がある意味とばっちりで…主人公が射殺されるゲームオーバーを見てすごく悲しくなりました。そしてあっさり倒されるギルバート…

 バッドエンドは本当に救われない三角関係みたいで最高ですね。ダンテは本当にどの√でも主人公を特別に思っているせいか殺さないんだなとしみじみ思いました。バッドエンドのスチルは最悪の状況であっても愛し合う二人を表していて神々しく見えました。

 主人公を一人のキャラクターとしてみると、一番等身大で隣にいてくれそうなのってオルロックだと思うんです。過ごした環境とか信念とかを一番理解してくれるのはオルロックなんじゃないかと、主人公には抑圧されず自然体で生きてほしい。

5周目 ギルバート

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 安定安心信頼のギルバート。恋人ではなく兄貴と慕い、舎弟として仕えたいです。萌えることはなかったですけど、人間として一番好きですね。バッドエンドでも主人公を考えて突き放す大人、精神年齢一番高いと思います。

 なんでギルバート√は最後に攻略するよう制限をかけているのか謎でしたが、多分ファルツォーネだと事件全体じゃなくて目の前のことに手一杯で、楊は面白ければどうでもいいと論外だから、ちょっと蚊帳の外にいるヴィスコンティが事件全体を把握しやすいのかなと思いました。あるいは、ボスとして統率力があり、聖遺物と関係ないから内輪の問題ができにくいため、シナリオの胆の問題を解決させるために全体の話を持ち込んできたのかもしれません。

そのため一番気楽な√、他√のどん底手詰まり感と比べて颯爽と駆け抜ける感じが素晴らしいです。ただ恋愛イベントがある割にギルバートが主人公を好きになった理由が薄いので、恋愛色は強くなかったです。

 ギルバート√から派生される隠しキャラ√ですが、彼の過去の話を頻繁に入れていたおかげで彼の所業は許されないですが同情できるようになりました。彼は確かにとても可哀そうな境遇をしていて、主人公は彼を許すことでエンディングにたどり着けますが、それが広義的に正しいことではないでしょう。罪を犯した人を処刑したほうが楽だし遺恨も残りませんが、主人公は愛ゆえか、彼が生きて償う姿を見守り続けることを選びました。この結末に異議があるわけではないですけど、私は少しもやもやしました。

まとめ

 命がたやすく失われ、暴力で地域を支配するマフィアの世界をきちんと描いていた面白いゲームでした。ロベルトとレオが攻略できるならFDを買ってみたいです。